
院長:泉お気軽にご相談ください!


赤ちゃんの誕生、本当におめでとうございます。喜びいっぱいの一方で、「産後なのに体がずっとだるい」「腰や骨盤まわりが痛くて抱っこもつらい」と感じているお母さん、いらっしゃいませんか。
実はその不調の多くに関係しているのが、産後の骨盤ケアでもよく名前が出てくる「リラキシン」というホルモンです。このホルモンのことを知るだけで、産後の体の変化への理解がぐっと深まります。
今回は、リラキシンがどんなホルモンなのか、産後の体にどのような影響を与えているのか、そして東洋医学の視点からどうアプローチするかをわかりやすくお伝えします。ぜひ最後までお読みください。


産後のお母さんから「骨盤が痛い」「腰が重くて育児がつらい」というご相談をたくさんいただきます。その背景には、ほぼ例外なくリラキシンの影響があります。仕組みを知ることが、ご自身の体を大切にする第一歩になると私は思っています
リラキシンとは、主に妊娠中の女性の体内で産生されるペプチドホルモンのひとつです。卵巣の黄体や胎盤、子宮などから分泌され、出産に向けて骨盤まわりの靭帯や関節を意図的に緩める大切な役割を担っています。名前の語源は英語の「relax(緩める)」から来ており、その働きをそのまま名前にしたようなホルモンです。妊娠初期から少しずつ増え始め、妊娠中期〜後期にかけて分泌量がピークに達すると言われています。
出産のとき、赤ちゃんは母親の骨盤の中を通り抜けて産まれてきます。骨盤は通常、骨と靭帯でしっかりと固定されていますが、そのままでは赤ちゃんが産道を通ることができません。
そこで体は、リラキシンの力で靭帯を柔らかく緩めることで、骨盤が少し広がれるよう自然に準備をするのです。これは出産に向けた体の驚くべき知恵ともいえますね。
リラキシンは妊娠中だけでなく、月経周期の黄体期(生理前後)にも少量が分泌されることが知られています。これが「生理のたびに腰が重くなる」「生理前後に骨盤まわりが痛む」という症状と関係していることがあります。
妊娠経験がない方でも腰痛や骨盤の不安定感を感じやすい時期があるとしたら、このホルモンの影響が一因かもしれません。思い当たることはありませんか?
出産後も、リラキシンの分泌はすぐに止まるわけではありません。特に授乳をしているお母さんは、授乳に関わるホルモンとの兼ね合いで、産後しばらくの間は骨盤まわりの靭帯が緩んだ状態が続くことがあります。この時期、日常生活の中でとった何気ない姿勢や動作によって、骨盤に少しずつ歪みが蓄積されていきます。産後の体の変化を正しく理解することが、長期的な健康づくりの第一歩につながります。
骨盤まわりの靭帯が緩むと、骨盤全体の安定性が低下します。その結果、腰痛・恥骨痛・股関節痛・お尻の痛みなどが起きやすくなります。さらに、骨盤の歪みが全身に波及すると、肩こりや首の痛み、膝の違和感として現れることもあります。
産後に「なんとなく体全体がバキバキ」「常に疲れが抜けない」と感じている方は、骨盤の不安定さが影響している可能性があります。「産後だから仕方ない」と放っておくのは、あまり得策ではありません。
リラキシンが緩めるのは骨盤の外側の靭帯だけではありません。骨盤の底を支える骨盤底筋群にも影響が及び、くしゃみや笑ったときの尿漏れ、頻尿などのトラブルが起きやすくなります。
「産後に尿漏れが気になるようになった」という方は少なくありません。これは恥ずかしいことでも珍しいことでもなく、体の自然な反応のひとつです。ひとりで抱え込まずに、ぜひ気軽に相談してほしいと思います。


「産後、いつまでこのホルモンの影響が続くのだろう?」これは産後のお母さんからよく聞かれる疑問のひとつです。一般的には、授乳をしていない場合は産後3〜6ヶ月をめどに分泌が落ち着いてくると言われています。一方、授乳中のお母さんは6ヶ月〜1年程度は影響が続くケースもあります。この時期は骨盤まわりが柔らかく、本来の位置に戻りやすい「骨盤ケアのゴールデンタイム」でもあるのです。
産後1〜2ヶ月が経過し、悪露(おろ)が落ち着いた時期から少しずつ体のケアを始めることが一般的に勧められています。この時期はまだホルモンが分泌されており、骨盤が動きやすい状態です。
リラキシンが分泌されている産後半年以内は骨盤が柔らかく動きやすいため、正しい位置に戻りやすい絶好のタイミングです。この時期を逃してしまうと、歪んだ状態で靭帯が固まってしまうことがあります。早めのケアが長期的な健康への近道といえます。
産後のお母さんは無意識に骨盤が歪みやすい姿勢を取り続けています。授乳中の前かがみ姿勢、赤ちゃんを抱っこするときの重心のかたより、長時間の横座りや床への座り方などがその代表です。
赤ちゃんのお世話で毎日忙しい中、どうしても自分の姿勢には気が回りません。だからこそ、意識的に体のケアを取り入れることがとても大切になります。特に次のような場面では骨盤への負担が積み重なりやすいので、意識してみてください。
こうした日常の積み重ねが、骨盤の歪みを加速させていきます。完璧にやめることは難しくても、「なるべく左右均等に」と意識するだけでも負担の軽減につながります。
西洋医学ではリラキシンは「ホルモン」という物質として捉えられますが、東洋医学の視点では産後の体の不調を「気(き)・血(けつ)・水(すい)」のバランスの乱れとして捉えます。出産という大仕事を終えた後の体は、血が大量に消耗し、気も体力も低下した虚弱な状態にあります。この状態を東洋医学では「産後の虚(きょ)」と表現します。ホルモンの影響で骨盤が緩んでいるところに、気血の不足が重なることで、慢性的な痛みや疲れやすさが長引くと考えられます。
当院では、産後の体に対してまず唾液によるストレス検査と気診(筋反射テスト)でお体の状態を詳しく確認します。骨盤まわりのバランスだけでなく、自律神経やホルモンバランスへの影響も丁寧に分析します。
その上で、お一人おひとりに最適なツボを見つけ、髪の毛ほどの細さの鍼を使った優しい施術で気血の巡りを整えていきます。体の内側から自然治癒力を高めることで、ホルモンバランスが落ち着いた後も歪みにくい体の土台をつくることができます。
骨盤の物理的な位置を整えるアプローチと、東洋医学による体の内側からのアプローチを組み合わせることで、より根本的な改善が期待できます。骨盤が正しい位置に戻ることで、内臓の位置も整い、消化機能や婦人科系のコンディションにも良い影響が出ることがあります。
産後の骨盤ケアは、「今の痛みを取る」だけが目的ではありません。これからの体の健康の土台をつくる、とても大切なことだと私は考えています。
「産後の体が心配だけど、どこに相談していいかわからない」「育児が忙しくて自分のケアは後回しになっている」そんなお母さんのために、当院は30年間ずっと寄り添ってきました。産後の体は、赤ちゃんのために一生懸命頑張ってきた証です。だからこそ、大切にケアしてほしいと心から思います。
リラキシンの影響による体の変化は、適切なタイミングでしっかりケアをすれば、多くの場合は改善に向かいます。「もう産後1年以上経ってしまった」という方も、まずはご相談ください。体の状態を丁寧に確認した上で、今できる最善のアプローチをご提案します。
一人でがんばりすぎないでください。あなたとご家族の健康を、院長が直接サポートいたします。いつでもお気軽にご連絡ください。