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育児中の抱っこで胸が痛い…肋間神経痛の原因と今すぐできる対処法

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子育て中のママから「赤ちゃんを抱っこすると胸のあたりが痛む」「授乳の後に背中が痛くなる」というお悩みをよく伺います。一生懸命に育児をしているからこそ、身体に負担がかかっているのかもしれません。

この胸や背中の痛みは、肋骨の周りを走る神経が関係していることがあります。毎日の抱っこや授乳といった動作が、知らないうちに身体へストレスを与えているのです。

痛みがあると、赤ちゃんとの大切な時間を心から楽しめなくなってしまいます。でも原因を知り、適切に対処することで改善できる症状でもあるのです。今回は育児中に起こりやすい胸や背中の痛みについて、原因から対処法まで詳しくお伝えしていきます。

目次

育児中に起こる胸や背中の痛みとは

赤ちゃんを抱き上げた瞬間、胸の横にピリッと電気が走るような痛みを感じたことはありませんか。深く息を吸おうとすると、肋骨のあたりが痛んで思うように呼吸ができない。そんな症状に悩まされている方は少なくありません。

肋骨は胸の周りを囲むように12対あり、それぞれの間には筋肉と神経が複雑に入り組んでいます。この肋骨と肋骨の間を通る神経に何らかの刺激が加わると、痛みとして現れるのです。痛みの感じ方は人それぞれで、鋭い痛みを感じる方もいれば、鈍い痛みが続く方もいらっしゃいます。

育児という営みは、身体の使い方を大きく変えます。妊娠前とは異なる姿勢や動作が増え、特定の筋肉に負担が集中しやすくなるのです。こうした日々の積み重ねが、胸や背中の痛みを引き起こす要因となっています。

こんな症状が現れていませんか

育児中に起こる胸や背中の痛みには、いくつかの特徴的な症状があります。以下のような症状に心当たりがある方は、肋骨周りの神経や筋肉に負担がかかっている可能性があるでしょう。

  • 赤ちゃんを抱き上げるときに胸や脇の下に痛みが走る
  • 授乳中や授乳後に背中から胸にかけて痛みを感じる
  • 深呼吸をすると肋骨のあたりが痛む
  • 身体をひねったり前かがみになると痛みが強くなる
  • 夜間に寝返りを打つと痛みで目が覚める
  • くしゃみや咳をしたときに胸に響くような痛みがある

これらの症状は、左右どちらか一方に現れることが多いのも特徴です。いつも右手で抱っこしている方は右側に、左手で抱くことが多い方は左側に症状が出やすくなります。痛みの程度も日によって変わることがあり、疲れが溜まっているときや、長時間抱っこした後などに強く感じることが多いでしょう。

痛みが出やすい育児の動作

育児の中には、胸や背中に負担をかけやすい動作がいくつもあります。それぞれの動作を見直すことで、痛みの予防にもつながるのです。

動作身体への影響負担がかかる部位
授乳時の前かがみ姿勢背中から胸にかけての筋肉が常に緊張肩甲骨周り、胸椎、肋間筋
抱っこ紐での長時間の移動前に引っ張られる力で姿勢が崩れる腰部、胸部、肩
ベッドからの抱き上げ動作腕だけでなく胸の筋肉も使用大胸筋、肋間筋、腹筋
片手での長時間抱っこ左右のバランスが崩れる片側の肋骨周り、肩、腰

授乳のために前かがみで座る時間が長いと、背中の筋肉が伸ばされた状態で固まってしまいます。反対に胸の前側の筋肉は縮こまり、この状態が続くと筋肉のバランスが崩れるのです。筋肉が硬くなると、その間を通る神経が圧迫されて痛みにつながります。

妊娠と出産が身体に与える影響

育児中の痛みを理解するには、妊娠期間中からの身体の変化を知ることが重要です。女性の身体は妊娠によって大きく変わり、その影響は出産後も長く続いています。

妊娠中はお腹が大きくなるにつれて、横隔膜が上に押し上げられます。すると呼吸が浅くなり、肋骨の動きも制限されるのです。本来なら呼吸のたびに肋骨は広がったり縮んだりしますが、この動きが少なくなることで肋骨の間にある筋肉が硬くなっていきます。

出産を終えても、身体がすぐに元の状態に戻るわけではありません。むしろ授乳や抱っこといった新たな動作が始まるため、回復する間もなく身体に負担がかかり続けるのです。

ホルモンの変化と身体の不安定さ

妊娠中から産後にかけて、リラキシンというホルモンが多く分泌されます。このホルモンには関節や靭帯を緩める作用があり、出産をスムーズにするための大切な働きをしているのです。

ただし、このホルモンの影響で全身の関節が緩んでいるため、身体を支える力が弱まっています。特に腹筋は出産によって大きくダメージを受けており、身体を安定させる力が低下しているのです。そのため、背中や胸の筋肉で身体を支えようとして、過度な負担がかかることになります。

呼吸の浅さがもたらす筋肉の硬直

育児中は常に赤ちゃんのことを気にかけているため、無意識のうちに呼吸が浅くなりがちです。家事もこなしながら、泣き声にもすぐ反応できるよう気を張っている。そんな状態では、深くゆったりとした呼吸をする余裕がなくなってしまいます。

呼吸が浅いと肋骨の動きも小さくなり、肋骨の間にある筋肉はほとんど動かなくなります。動きの少ない筋肉は次第に硬くなり、血液の流れも滞りがちです。この状態が長く続くと、硬くなった筋肉が神経を圧迫して痛みやしびれが現れるのです。

深呼吸をしようとしても、すでに筋肉が硬くなっているため、かえって痛みを感じることもあるでしょう。痛みを避けるために浅い呼吸を続けると、さらに筋肉が硬くなるという悪循環に陥ってしまうこともあります。

東洋医学から見た育児中の身体

東洋医学では、心と身体は切り離せないものと考えます。育児中の胸や背中の痛みも、筋肉や神経だけの問題ではなく、心の状態や生活環境すべてが関わっているのです。

育児によるストレスや睡眠不足は、身体のエネルギーの流れを滞らせます。東洋医学ではこれを「気の滞り」と表現し、特に胸や脇の下の痛みは気の流れが停滞しているサインと捉えているのです。気が滞ると、血液の流れも悪くなり、筋肉への栄養供給が不足して痛みが生じやすくなります。

ストレスと肋骨周りの痛みの関係

肋骨周りの痛みは、東洋医学で「肝」という臓腑と深く関わっているとされています。ここでいう肝は、西洋医学の肝臓とは少し異なる概念で、気の流れを調整する働きを持つとされているのです。

肝はストレスの影響を最も受けやすく、イライラや不安といった感情と密接に結びついています。育児中は思うように時間が使えず、予定通りに物事が進まないことも多いでしょう。夜泣きで睡眠が妨げられたり、外出の準備に予想以上の時間がかかったり。そうした日々のストレスが積み重なると、気の流れが滞り、身体に痛みという形で現れることがあるのです。

全身のバランスを整える重要性

東洋医学の特徴は、痛みのある部分だけでなく、身体全体を診るという点です。肋骨周りに痛みがあっても、その原因は肩や腰、あるいは手足にあるかもしれません。身体は全てつながっているため、一箇所の不調が別の場所に影響を及ぼすのです。

例えば、育児中は手首を痛めることも多いでしょう。抱っこや授乳で手首に負担がかかり、腱鞘炎になることもあります。手首をかばうように身体を使うと、腕から肩、そして胸へと負担が連鎖していくのです。こうした連鎖を断ち切るには、全身のバランスを整えることが必要になります。

日常生活でできる対処法

痛みを和らげるために、日常生活の中でできることはたくさんあります。育児で忙しい毎日でも、ちょっとした工夫で身体への負担を大きく軽減できるのです。

抱っこの仕方を見直す

いつも同じ側で抱っこしていると、その側だけに負担が集中します。意識的に左右を交互に使うようにしてみましょう。最初は利き手と反対側で抱くと不安定に感じるかもしれませんが、徐々に慣れていきます。

抱っこ紐を使用する際は、ストラップの調整が重要です。赤ちゃんの位置が低すぎると前かがみになりやすく、高すぎると肩に負担がかかります。赤ちゃんの頭が自分の胸の高さにくるように調整すると、バランスが取りやすくなるでしょう。

授乳姿勢の工夫

授乳クッションを活用して、赤ちゃんの位置を高くすることで前かがみの姿勢を避けられます。背もたれのある椅子に座り、腰から背中全体を椅子にしっかりつけることも大切です。

  1. 椅子に深く腰掛けて、背中を背もたれにつける
  2. 授乳クッションで赤ちゃんの高さを調整する
  3. 肩の力を抜いて、リラックスした姿勢を保つ
  4. 長時間同じ姿勢を避け、授乳後はストレッチをする

添い乳を取り入れることで、座った姿勢での授乳時間を減らすこともできます。ただし、添い乳にも注意点があるので、無理のない範囲で取り入れてみてください。

呼吸を意識する時間を作る

一日のうち、ほんの数分でもかまいません。ゆっくりと深い呼吸をする時間を意識的に作ってみてください。赤ちゃんが寝ている間や、少し手が空いたときに試してみましょう。

  • 静かな場所で楽な姿勢になる
  • 鼻からゆっくり4秒かけて息を吸う
  • 胸が広がり、肋骨が動くのを感じる
  • 2秒間息を止める
  • 口からゆっくり6秒かけて息を吐く
  • この動作を5回から10回繰り返す

深い呼吸は筋肉の緊張をほぐすだけでなく、副交感神経を優位にして心を落ち着かせる効果もあります。育児のストレスを和らげることにもつながるでしょう。

身体を温めることの大切さ

筋肉が冷えると、さらに硬くなりやすくなります。特に冬場や冷房の効いた部屋では、身体を温めることを意識しましょう。入浴の際は、シャワーだけで済ませずに湯船につかる時間を作ることをおすすめします。

温かいお湯に身体を浸すことで血流が促進され、筋肉の緊張も和らぎます。ただし、長湯は体力を消耗しますので、38度から40度程度のお湯に10分から15分程度つかるのが理想的です。育児中は湯船につかる時間がないという方もいらっしゃるでしょう。その場合は、蒸しタオルで肩や背中を温めるだけでも効果があります。

ストレッチで筋肉をほぐす

簡単なストレッチを日常に取り入れることで、筋肉の硬さを予防できます。痛みが強いときは無理をせず、気持ちいいと感じる程度の強度で行ってください。

胸のストレッチ
壁の横に立ち、片手を壁につけます。そのまま身体を反対側にゆっくりひねると、胸の筋肉が伸びるのを感じるでしょう。左右それぞれ20秒ずつキープします。前かがみで縮こまった胸の筋肉を伸ばすことができます。

背中のストレッチ
椅子に座った状態で、両手を前で組んで前に伸ばします。背中を丸めるようにして、肩甲骨の間を広げるイメージで行ってください。このまま深呼吸を5回ほど繰り返すと、背中の筋肉がほぐれていきます。

無理をしないことの重要性

育児中は「しっかりやらなければ」というプレッシャーを感じることもあるでしょう。でも、身体が痛いときは無理をせず、休息を取ることも大切です。家事を少し手抜きしても、誰も責めたりはしません。

痛みが強いときは重いものを持つことを避け、赤ちゃんの抱っこも短時間にとどめるようにしましょう。ベビーカーを活用したり、床に座って赤ちゃんと遊ぶ時間を増やすことで、立ったまま抱っこする時間を減らすこともできます。家族やパートナーに協力をお願いすることも、決して悪いことではないのです。

鍼灸による痛みへのアプローチ

日常のケアに加えて、専門的な施術を受けることも効果的な選択肢の一つです。鍼灸は東洋医学に基づいた施術法で、身体全体のバランスを整えながら痛みの改善を目指します。

鍼灸施術の特徴

鍼灸施術では、痛みのある部分だけでなく、全身のツボを用いて気の流れを整えていきます。肋骨周りの痛みに対しては、胸や背中のツボはもちろん、手足のツボも効果的なのです。東洋医学のツボは経絡というエネルギーの通り道上にあり、離れた場所のツボを刺激することで痛みのある部分の状態を改善できます。

髪の毛ほどの細い鍼を使用しますので、痛みはほとんど感じません。「鍼は怖い」というイメージを持つ方もいらっしゃいますが、実際に受けてみると想像よりもずっと優しい刺激だと感じる方が多いのです。

継続的なケアの重要性

一度の施術で劇的に改善することもありますが、多くの場合は継続的なケアが必要です。育児による身体の負担は毎日続いているため、定期的に身体のバランスを整えることが大切なのです。

施術を受けることで、痛みの改善だけでなく、疲れにくい身体づくりにもつながります。多くの方が「身体が軽くなった」「呼吸がしやすくなった」「夜ぐっすり眠れるようになった」といった変化を実感されています。

いつ専門家に相談すべきか

日常のケアで改善が見られない場合や、痛みが日常生活に支障をきたしている場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。我慢して過ごしていると、症状が慢性化してしまうこともあるのです。

こんな症状があれば早めの相談を

  • 2週間以上痛みが続いている
  • 痛みが徐々に強くなっている
  • 夜間の痛みで睡眠が妨げられる
  • 抱っこができないほど痛みが強い
  • 発熱や息苦しさを伴う
  • しびれや感覚の異常がある

特に発熱や息苦しさを伴う場合は、他の病気の可能性もあります。まずは医療機関を受診して、重大な疾患がないかを確認することが大切です。検査で異常がなく、筋肉や神経の問題だと分かった場合は、鍼灸などの施術が効果的でしょう。

育児を楽しむための身体づくり

子育ては人生の中でも特別な時間です。赤ちゃんの成長を間近で見守り、かけがえのない瞬間を過ごせる貴重な期間でもあります。身体の痛みがあると、その大切な時間を十分に楽しめなくなってしまうのです。

抱っこしたくても痛みが気になって躊躇したり、外出するのも億劫になったり。でも適切なケアと必要に応じた施術によって、身体の状態は改善できます。痛みのない身体で育児ができれば、子どもとの時間がもっと楽しくなるはずです。

笑顔で子どもに接することができ、家族全体が明るい雰囲気になっていくでしょう。あなたが元気であれば、家族も笑顔になります。心と身体を整えて、育児という大切な時間を存分に楽しんでください。

まとめ

育児中に起こる胸や背中の痛みは、日々の抱っこや授乳、前かがみの姿勢によって肋骨周りの筋肉や神経に負担がかかることが主な原因です。妊娠・出産による身体の変化も影響しており、ホルモンバランスや筋力の低下が痛みを引き起こしやすい状態を作っています。

日常生活では抱っこの仕方を工夫したり、呼吸を意識したり、身体を温めることが大切です。ストレッチを取り入れて筋肉をほぐすことも効果的でしょう。そして何より、無理をしないことが重要なのです。

症状が続く場合や日常生活に支障がある場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。東洋医学に基づいた鍼灸施術では、痛みのある部分だけでなく全身のバランスを整えることで根本的な改善を目指せます。一人で抱え込まずに、あなたの身体と向き合う時間を作ってみてください。


院長:泉

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