
院長:泉お気軽にご相談ください!


「なんだか最近、体が重くてだるい」「肩や首がずっとこっていて、どうにも抜けない」そんなふうに感じていませんか。病院で検査を受けても「特に異常はありません」と言われてしまう。でも、確かに体のどこかが重い、つらい。そういう方がとても多いんです。
実は、東洋医学では昔から邪気が体に溜まることで、こうした原因のはっきりしない不調が起きると考えられてきました。今回はその邪気が体のどこに溜まりやすいのか、どんなサインが出るのか、そして鍼灸の視点からどうケアすればよいのかをお伝えします。


「邪気」という言葉、少し不思議に聞こえるかもしれませんが、東洋医学では2000年以上前から体に影響を与えるものとして捉えられてきた概念です。現代の「ストレス」や「免疫力の低下」に通じる部分も多く、私が30年間・17万人以上の方を施術してきた中でも、この「邪気が溜まった状態」に当てはまる方は非常にたくさんいらっしゃいます
邪気とは、東洋医学において体の「正気(せいき)」=本来の生命エネルギーを乱す、外からも内からも生じるマイナスの気のことを指します。古くは中国医学の古典にも記され、風・寒・湿・熱・燥・火という六つの邪(六淫=ろくいん)として分類されています。現代的に言えば、寒暖差・湿気・ストレス・疲労・食の乱れなど、体の自然な働きを妨げるもの全てが「邪気」につながると考えてよいでしょう。
邪気は目に見えないものですが、体の反応として確かに現れます。私の施術でも、邪気が溜まっている方の体は、特定の部位がこわばっていたり、皮膚の色が変わっていたり、脈が乱れていたりと、さまざまなサインを出しています。「気のせいかな」で済ませてしまわず、体のサインをきちんと読み取ることが大切です。
体の中でも、邪気が特に溜まりやすい場所があります。東洋医学の考え方と、私の長年の臨床経験を合わせると、以下のような部位が挙げられます。それぞれの部位にどんな不調が現れやすいかも一緒にお伝えしますね。
首の後ろは、外からの邪気が最初に入り込みやすい場所です。東洋医学では「風門(ふうもん)」「天柱(てんちゅう)」という経穴(ツボ)がここにあり、風邪(ふうじゃ)と呼ばれる外からの邪気の侵入口とされています。首や後頭部のこわばり、頭痛、めまい、風邪をひきやすいといった症状は、ここに邪気が溜まっているサインかもしれません。
現代人はスマートフォンやパソコンの画面を見続けることで、首の後ろに慢性的な緊張を抱えています。この緊張が邪気の滞りを招き、頭や全身への気の流れを妨げるのです。
肩こりは日本人がもっとも訴える症状のひとつですが、東洋医学的に見るとここはストレスや感情の邪気が蓄積しやすい場所です。肩甲骨の内側には膀胱経という経絡が走っており、この流れが滞ると疲労感、免疫力の低下、さらには内臓の不調にまで影響が出ることがあります。
「肩が石のように固い」と感じる方は、単純な筋肉疲労だけでなく、邪気の蓄積が深いことも考えられます。私の施術でも、肩甲骨まわりのこわばりが取れると「全身がすごく楽になった」とおっしゃる方が多いんです。
お腹の真ん中、みぞおちのあたりは「中脘(ちゅうかん)」というツボがあり、胃の働きと深く関係しています。ここが硬くなっている方は、消化器系の不調だけでなく、精神的なストレスや感情のつまりも抱えていることが多いです。東洋医学では「思慮過多(しりょかた)」=考えすぎることが脾胃(消化器)の邪気を生むと言われており、心と体の両面からケアが必要です。
みぞおちをそっと押してみて、ズキッとした痛みや硬さを感じる方は、ここに邪気が滞っているサインです。深呼吸すらしにくいと感じることもあります。
腰は「腎(じん)」の働きと密接に関係しています。東洋医学において腎は生命力の源であり、ここに邪気が溜まると慢性的な疲労感、冷え性、生殖機能の低下にもつながるとされています。腰痛は単なる筋肉の問題ではなく、生命エネルギーの消耗を知らせるサインでもあるのです。
特に冷えからくる腰の重さや、夕方になると腰がだるくなる方は、腎への邪気の蓄積を疑ってみてください。妊活中の方や疲れが抜けない方にも、腰まわりのケアはとても重要です。
体の下半身、特に膝の裏(委中・いちゅう)と足の裏(湧泉・ゆうせん)は、邪気の排出口とも言われています。湧泉は腎経の出発点でもあり、ここを刺激することで全身のエネルギーの流れを促すことができます。足のむくみ・冷え・だるさが慢性化している方は、この排出口が塞がれている状態と見ることができます。
「足が重くて夜もなかなか眠れない」という方は、足裏から邪気が滞っているサインかもしれません。足湯や足裏マッサージが気持ちよく感じられるのは、体が自然に「ここを流して」と求めているからかもしれませんね。


邪気が溜まると体と心の両方にサインが現れます。「最近どうも変だな」と感じているなら、次のような症状がないか確認してみてください。
これらのサインが複数重なっている場合、体の中で邪気が滞り、正気(本来の生命エネルギー)が弱まっている可能性が高いです。「気のせいかな」と放置せず、体が発しているメッセージとして受け取ってください。
邪気はなぜ体に溜まるのでしょうか。大きく分けると「外から入ってくる邪気」と「体の中で生まれる邪気」の二種類があります。東洋医学ではそれぞれを「外因」「内因」として整理しています。
季節の変わり目の寒暖差、長雨による湿気、夏の強い熱気や冷房の冷えなど、気候・環境の変化が体に負担をかけて邪気を生みます。現代でいえば、クーラーで冷えた体、長時間の通勤での疲労、人込みの中での気疲れなども外からの邪気に相当します。
怒り・悲しみ・過剰な心配・驚きなどの感情は、長く続くと内側から邪気を生むと言われています。現代的に言えば、慢性的なストレスや感情の抑圧が体の気の流れを乱すということです。私の30年の臨床経験でも、不調の根っこに「長年のストレスや感情のつまり」があった方は非常に多く、これを解放することで体の状態が大きく変わる場面を何度も目の当たりにしてきました。
邪気を払うためのセルフケアとして、日常生活でできることもあります。ただ、長年蓄積された邪気を根本から解消するには、専門的なアプローチが効果的です。ここでは私が実際に施術で行っているアプローチと、日常でできるケアを合わせてご紹介します。
鍼灸治療では、邪気が溜まっている経穴(ツボ)に細い鍼や温かいお灸でアプローチし、滞った気の流れを促します。当院では「気診(きしん)」という独自の筋反射テストを使って、あなたの体のどこに邪気が溜まっているかを丁寧に確認した上で施術を行います。むやみにたくさんのツボを刺激するのではなく、そのときのあなたの体に最も必要な一点に集中して施術することが、効率よく邪気を払い、正気を回復させる鍵です。
施術後に「体がじんわり温まった」「呼吸が楽になった」と感じてくださる方が多いのは、邪気が流れ始め、正気が戻ってきているサインです。
毎日の生活の中でも、邪気の蓄積を防ぎ、気の流れを保つためにできることがあります。大切なのは「排出」と「補充」の二つの視点です。
これらはあくまでも日常のセルフケアです。体のどこかに継続的な不調がある場合は、専門家に診てもらうことをおすすめします。
「邪気」という言葉を聞くと、スピリチュアルな話と思われることもあります。でも、東洋医学における邪気の概念は、2000年以上の歴史と膨大な臨床の積み重ねの上に成り立っています。現代医学の「ストレス」「炎症」「免疫の乱れ」と本質的に重なる部分も多く、決して迷信ではありません。
私自身、鍼灸師として光山寺の中で30年間施術を続けてきた中で、「検査では異常なし」と言われながらも苦しんでいた方が、邪気が溜まる部位へのアプローチで驚くほど回復されるケースを何度も経験してきました。大切なのは体のサインを「なんとなく」で流さず、きちんと向き合うことです。
体の重さ、慢性的な疲れ、抜けない肩こり、原因不明のイライラ……これらは体があなたに「ここに邪気が溜まっているよ」と伝えているメッセージかもしれません。ひとりで抱え込まず、まずは気軽に相談してください。あなたの体の声を一緒に読み解き、根本から整えるお手伝いをさせていただきます。