
院長:泉お気軽にご相談ください!


ランニングやスポーツを楽しんでいる方にとって、膝の痛みほど気がかりなものはありません。とくに膝の外側に走るような痛みを感じたとき、多くの方が不安を抱えながらも無理を続けてしまいがちです。
痛みを我慢しながら走り続けていませんか。膝の外側に違和感があるのに、休むことができずにいる方も少なくないでしょう。実はその痛み、単なる使いすぎだけが原因ではないかもしれません。
膝の外側の痛みは、腸脛靭帯という組織が関係していることが多く、適切な対応をしないと慢性化してしまう恐れがあります。痛みが出始めたら早めに対処することで、回復への道のりは大きく変わってきます。
膝の外側から太ももにかけて走るような痛みを感じる症状は、腸脛靭帯という組織の問題として知られています。この靭帯は骨盤から膝の外側まで伸びる長い線維の束で、立つ、歩く、走るといった動作で重要な役割を担っているのです。
ランニングを習慣にしている方や、長距離を走るアスリートに多く見られることから、ランナー膝とも呼ばれています。しかし実際には、ランナーだけでなく自転車競技者や登山愛好家にも起こりうる症状といえるでしょう。
痛みの特徴として、運動を始めてしばらく経ってから膝の外側に鈍い痛みが出現します。初期段階では運動をやめると痛みが消えることが多いため、つい見過ごしてしまいがちです。進行すると階段の昇り降りや日常的な歩行でも痛みを感じるようになり、生活の質が大きく低下してしまいます。膝を曲げ伸ばしする動作で外側に痛みが走るなら、この問題を疑う必要があります。
特に膝を30度程度曲げた状態で外側を押すと痛みが強く出ることが特徴的です。あなたの膝は大丈夫でしょうか。
一般的には腸脛靭帯が膝の外側にある骨の突起部分と繰り返し擦れることで炎症が起きると説明されています。膝の曲げ伸ばし動作を何度も繰り返すことで、摩擦が生じて痛みにつながるというわけです。しかし原因はそれだけではありません。股関節周りの筋肉、特に大腿筋膜張筋や大殿筋の柔軟性が低下していると、腸脛靭帯への負担が増大してしまいます。
筋力のバランスも見逃せない要因です。お尻の外側にある中殿筋が弱いと、走行時に膝が内側に入り込む動きが生じて、腸脛靭帯に過度なストレスがかかります。
さらに足の形状やO脚などの骨格的な特徴、靴の選び方、走る路面の傾斜なども影響を与えているのです。つまり単純に使いすぎというよりも、身体全体のバランスの崩れが膝の外側に集約されて現れているといえるでしょう。急激なトレーニング量の増加や、適切なウォーミングアップを行わないことも発症リスクを高めます。自分の身体の声に耳を傾けていますか。


整形外科などの医療機関では、まず安静にして患部を冷やす保存療法が基本となります。痛みが強い場合には消炎鎮痛剤の内服や湿布が処方され、炎症を抑える対症療法が中心です。症状が強いケースでは、ステロイド注射による局所療法が選択されることもあります。これらの治療で多くの方は数週間から数ヶ月で改善に向かうとされています。
リハビリテーションとしては、腸脛靭帯のストレッチや股関節周囲の筋力強化が推奨されます。理学療法士の指導のもと、段階的に運動負荷を増やしていく方法が一般的でしょう。ただしこれらの方法で改善しない難治性のケースでは、外科手術が検討されることもあります。しかし手術に至るケースは少なく、ほとんどは保存療法で対応可能とされているのです。
問題は、痛みが一時的に消えても再発を繰り返す方が少なくないという点にあります。対症療法だけでは根本的な解決にならないことも多いのです。
東洋医学では、膝の外側の痛みを単なる局所の炎症として捉えません。身体全体の気血の流れが滞った結果として、特定の部位に痛みが現れると考えます。興味深いことに、腸脛靭帯の問題を訴える方の多くは、患部に発赤や熱感、明らかな腫れといった典型的な炎症の徴候が見られないことがあります。つまり炎症という言葉で説明される状態とは異なる可能性があるのです。
東洋医学では膝の外側は胆経という気の通り道が走っており、この経絡の流れが悪くなることで痛みが生じると理解されています。さらに肝の機能と深く関わっており、肝の働きが弱ると血液循環が悪化して筋肉や靭帯に栄養が届きにくくなるのです。
ストレスや疲労の蓄積も見逃せません。東洋医学では精神的なストレスが肝の機能を低下させ、それが筋肉の緊張や血流障害につながると考えられています。つまり膝の痛みは、身体からの「全体のバランスが崩れている」というサインかもしれません。患部だけを見るのではなく、なぜそこに負担が集中したのかという視点が大切です。
当院では気診という独自の検査法で、あなたの身体がどこに問題を抱えているのかを詳しく調べていきます。膝の痛みであっても、原因は腰や骨盤、あるいは内臓の疲れにあることも珍しくありません。
鍼灸施術では、痛みのある部位だけでなく全身のツボを使って肝の機能を高め、血液循環を改善していきます。とくに胆経上にある光明や陽陵泉といったツボは、慢性的な膝の症状に効果的とされています。
髪の毛ほどの細さの鍼を使用するため、痛みはほとんど感じません。鍼に電気を流す鍼通電療法を用いることで、深部の筋肉の緊張を緩め、痛みの軽減と血流改善を同時に促します。
お灸による温熱刺激も併用します。冷えている部位を温めることで、自然治癒力が高まり組織の回復が促進されるのです。アイシングで冷やし続けるのではなく、適切に温めることが東洋医学の特徴といえるでしょう。
整体の手技では、大腿筋膜張筋や大殿筋といった腸脛靭帯につながる筋肉を丁寧にほぐしていきます。手技では届かない深部の組織には鍼でアプローチし、表層の筋肉は整体で緩めるという組み合わせが効果的です。
施術を重ねるごとに、膝だけでなく全身の調子が整っていくことを実感される方が多くいらっしゃいます。それは根本的な体質改善が進んでいる証拠なのです。
改善した後も、日常生活での注意とセルフケアが再発予防には欠かせません。まず運動前には必ず太ももの外側と股関節周りを入念にストレッチしてください。具体的には、立った状態で伸ばしたい足を後ろに引き、体重をかけながら上半身を捻るストレッチが効果的です。太ももの外側にある大腿筋膜張筋が伸びる感覚を意識しましょう。
運動後のクールダウンも同様に大切です。使った筋肉をしっかり伸ばすことで、疲労物質の蓄積を防ぎ柔軟性を維持できます。筋力トレーニングも予防に有効とされています。特にお尻の外側の中殿筋を鍛えることで、走行時の膝の安定性が高まります。片足立ちでのバランス運動や、横向きに寝て脚を上げる運動を週に2〜3回行うとよいでしょう。
ランニングシューズの選び方も見直してみてください。クッション性が高く、自分の足の形に合った靴を選ぶことで膝への衝撃を軽減できます。トレーニング量は急激に増やさず、段階的に負荷を上げていくことが重要です。週に1〜2回は完全な休養日を設けて、身体を回復させる時間を確保しましょう。
膝の痛みと聞くと、多くの方は物理的な使いすぎだけが原因だと思いがちです。しかし30年間の臨床経験から、心の疲れやストレスが身体の痛みとして現れることを数多く見てきました。仕事や人間関係のストレスは、無意識のうちに筋肉を緊張させます。その緊張が長期間続くと、特定の部位に負担が集中して痛みとなって現れるのです。
東洋医学の視点では、こころと身体は切り離せない一つのものと考えます。膝の治療をしながら、同時にストレスケアや自律神経の調整を行うことで、より深い改善が期待できるのです。当院では気診検査でストレス度を数値化し、あなたの心身の状態を総合的に把握します。そして鍼灸気功整体で、こころと身体の両方にアプローチしていきます。
痛みが改善するだけでなく、「よく眠れるようになった」「気持ちが前向きになった」「家族との関係が良くなった」という声をいただくことも少なくありません。それは本来の自然治癒力が高まり、生命力が活性化した結果といえるでしょう。膝の痛みを単なる故障と捉えるのではなく、身体全体を見つめ直すきっかけにしてみませんか。
痛みは身体からのメッセージです。そのメッセージに耳を傾け、根本から整えていくことで、再び思いきり動ける身体を取り戻すことができます。薬にできるだけ頼らない自然な方法で、あなたの健康をサポートさせていただきます。