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季節ごとの養生法
東洋医学からみる身体の整え方

東洋医学では、自然の流れに逆らわず季節ごとに心と体を整えることを「養生(ようじょう)」と呼びます。現代人の多くは冷暖房や生活リズムの乱れにより、季節感を忘れがちですが、体は確実に四季の影響を受けています。肩こりや腰痛、冷え、不眠、胃腸の不調、自律神経の乱れなども、季節との関わりが大きいのです。
ここでは、春・梅雨・夏・冬の季節ごとに、東洋医学の視点からおすすめの養生法をご紹介します。
春の養生法:気の巡りを整え、ストレスを溜めない

春は「肝(かん)」の働きが高まる季節です。肝は血の貯蔵、自律神経の調整、気の流れのスムーズさに関わります。季節の変わり目は寒暖差や生活環境の変化も多く、心身に負担がかかりやすい時期です。そのため、春には「ストレスやイライラ」「めまい」「不眠」「花粉症の悪化」といった症状が増えます。
春の養生のポイント
- 適度な運動やストレッチを取り入れる
気の流れが滞るとイライラや不眠につながります。ウォーキングやヨガなど、体を伸ばす運動で巡りを良くしましょう。 - 食事では“青いもの”を摂る
菜の花、ほうれん草、ブロッコリーなどの緑の野菜は肝の働きを助けます。苦味のある山菜もデトックス効果が期待できます。 - 早寝早起きで自律神経を整える
春は生活リズムを整えることが重要です。夜更かしを避け、朝日を浴びる習慣をつけましょう。 - おすすめのツボ
太衝(たいしょう)…イライラやストレスに
合谷(ごうこく)…肩こりや自律神経の乱れに
春におすすめの食養生

春は「苦味」を取り入れると、肝の働きを助けて気の巡りを良くします。
- 菜の花、春菊、ふきのとう、せりなどの山菜
- 柑橘類(オレンジ、グレープフルーツ)で気分をリフレッシュ
菜の花を軽く茹でてしらすと和え、少しの醤油で味付け。春の苦味とカルシウムを同時に摂れます。
梅雨の養生法:湿を払い、胃腸を元気に

梅雨は湿気が多く、体の中にも「湿(しつ)」が溜まりやすい時期です。東洋医学では「脾(ひ)・胃(い)」が弱りやすいとされ、消化機能が落ちることで「食欲不振」「胃もたれ」「むくみ」「だるさ」が起こりやすくなります。
梅雨の養生のポイント
- 体を冷やさない
湿気と冷えが合わさると体が重だるくなります。冷たい飲み物や生ものは控え、温かいスープやお茶を意識して摂りましょう。 - 甘いもの・油っこいものは控えめに
砂糖や脂質は胃腸に負担をかけ、湿をため込みます。軽い和食や消化の良い食事を心がけましょう。 - 軽い運動で代謝を促す
梅雨のだるさには無理のない運動が効果的です。ウォーキング、軽いストレッチなどで体を動かし、湿を汗として排出しましょう。 - おすすめのツボ
三陰交(さんいんこう)…むくみ、冷え、女性の体調管理に
足三里(あしさんり)…胃腸を整え、疲労回復に
梅雨におすすめの食養生

湿を取り除き、胃腸を守ることが大切です。
- はと麦(ヨクイニン)、冬瓜、とうもろこし
- しょうが、みょうが、ねぎなど体を温めて巡らせる食材
- 甘い物や脂っこい物は控えめに
鶏ガラスープに野菜とはと麦を入れて煮込む。胃腸に優しく、体の湿を追い出す働きがあります。
夏の養生法:熱をさまし、消耗を防ぐ

夏は「心(しん)」が活発になる季節です。心は血液循環や精神活動をつかさどり、不眠や不安感とも関係があります。汗をかきすぎると気血が消耗し、体力低下や免疫力の低下につながります。
夏の養生のポイント
- 水分補給は常温でこまめに
冷たい飲み物をがぶ飲みすると胃腸が弱ります。常温の水や麦茶を少しずつとりましょう。 - 夏野菜で体の熱を調節
トマト・きゅうり・スイカなどは体を適度に冷ましてくれます。ただし食べすぎると冷えにつながるためバランスが大切です。 - 睡眠を大切にする
夜の寝苦しさで睡眠不足になると、自律神経が乱れやすくなります。昼寝で短時間の休息を取り入れるのもおすすめです。 - おすすめのツボ
内関(ないかん)…胃の不調や心の落ち着きに
神門(しんもん)…不眠や精神的ストレスに
夏におすすめの食養生

体の熱を冷ましつつ、冷やしすぎない食材選びがポイントです。
- きゅうり、トマト、スイカ、大葉、みょうが
- レモン、梅干しで食欲増進
- 冷たい飲み物は避け、常温の水や麦茶を
冷やした豆腐にトマトと大葉をのせ、ポン酢で味付け。夏バテ予防にぴったりです!
冬の養生法:腎を養い、冷えを防ぐ

冬は「腎(じん)」を大切にする季節です。腎は生命エネルギーの源とされ、体力・免疫力・ホルモンバランスを支えます。冷えは腎を弱らせる大敵であり、腰痛や頻尿、冷え性、倦怠感なども出やすくなります。
冬の養生のポイント
- 体を冷やさない工夫をする
腹巻きやレッグウォーマー、カイロなどで腰・お腹・足首を温めましょう。特に下半身の冷えは要注意です。 - 根菜類や黒い食材を摂る
大根・人参・ごぼうなどの根菜類、黒豆・黒ごま・海藻などは腎を養う食材です。煮物や鍋料理で体を芯から温めましょう。 - 無理のない運動で血流を促す
寒いからと動かないと血流が滞ります。ウォーキングやストレッチで体をほぐしましょう。 - おすすめのツボ
関元(かんげん)…下腹部を温め、冷えの改善に
命門(めいもん)…腰の冷えや腎の働きを整える
冬におすすめの食養生

腎を養い、体を芯から温める食材を選ぶことが大切です。
- 黒豆、黒ごま、山芋、くるみ
- 人参、ごぼう、大根などの根菜類
- 羊肉、鶏肉、鮭など体を温める動物性たんぱく
根菜と鶏肉を味噌で煮込むと、体をしっかり温めながら腎を補います。冬の定番養生メニューです!
まとめ
東洋医学の養生法は、自然と調和して生活する知恵です。春は「気の巡りを整える」、梅雨は「湿を防ぐ」、夏は「気血を守る」、冬は「腎を養い温める」といった意識を持つだけで、体調の安定に大きく役立ちます。
肩こり・腰痛・冷え・不眠・自律神経の乱れなどの不調は、季節と深い関わりがあります。当院では、こうした季節の養生を踏まえながら、一人ひとりの体質に合わせた施術をご提供しています。