
院長:泉お気軽にご相談ください!


こんにちは、富山寿楽堂鍼灸院の泉賢秀です。最近、夜になると必ず夢を見て、朝起きても疲れが取れないというお悩みはありませんか。毎晩のように夢ばかり見て、眠りが浅く感じる方が最近増えているように感じます。
診察室で患者さんから「毎晩夢ばかり見て、まったく休めた気がしないんです」という声をよく耳にします。実は夢を頻繁に見ることは、あなたの心や身体が何かのサインを送っている可能性があるのです。
東洋医学では、夢が多い状態を「多夢」と呼び、心と身体のバランスが崩れているサインとして捉えます。今回は、毎晩のように夢を見る原因とその対処法について、東洋医学の視点も交えながらお話しさせていただきます。
眠っているはずなのに夢ばかり見て、朝になっても身体が重だるい。そんな経験をされている方は、睡眠のメカニズムが乱れている可能性があります。
私たちの睡眠には、深い眠りの「ノンレム睡眠」と浅い眠りの「レム睡眠」があります。通常、一晩のうちに90分から120分の周期でこの二つの睡眠が交互に訪れます。夢を見るのは主にレム睡眠の時間帯で、この時間帯に目が覚めると夢の記憶が残りやすくなるのです。
頻繁に夢を見ると感じる方の多くは、実は浅いレム睡眠中に何度も目が覚めてしまい、そのたびに夢を記憶してしまっている状態です。つまり夢を多く見ているのではなく、浅い眠りが続いているため夢を覚えている回数が増えているということになります。
日々の診察の中で、夢を頻繁に見る方の生活習慣を詳しく伺うと、いくつかの共通点が浮かび上がってきます。
| 要因 | 具体的な影響 |
|---|---|
| 精神的ストレス | 仕事や人間関係からくる悩み事が頭から離れず、寝ている間も脳が活発に働き続ける状態。特に真面目で責任感の強い方に多く見られます。 |
| 生活リズムの乱れ | 夜遅くまでスマートフォンを見たり、寝る直前までパソコン作業をすることで、ブルーライトの影響により脳が覚醒状態になってしまいます。 |
| カフェイン・アルコール | 就寝前のカフェインやアルコールの摂取は睡眠の質を大きく低下させます。特にアルコールは入眠を助けるように見えて、実は睡眠の後半で覚醒を引き起こし悪夢を見やすくします。 |
| 寝室環境 | 騒音や光、温度や湿度が適切でないと、深い睡眠に入ることができず浅い眠りが続いてしまいます。 |
これらの要因が複合的に重なることで、毎晩のように夢を見る状態になってしまうのです。


西洋医学では夢を多く見ることを病気として扱うことは少ないのですが、東洋医学では「多夢」という明確な症状として捉え、何千年も前から対処法が研究されてきました。
東洋医学の考え方では、夢が多いことは「心と体の落ち着きが保たれていない状態」のサインです。体のエネルギーである「気」や栄養である「血」のめぐりが不足したり、逆に余分な熱や滞りが生じると、夜になっても心が静まらず夢が増えてしまうのです。
東洋医学では「心脾両虚」と呼ばれる状態があります。これは考えすぎや働きすぎで体のエネルギーや栄養が足りなくなり、心が落ち着かなくなるタイプです。
このタイプの方は、眠りが浅く夢が多いだけでなく、日中の疲れやすさや食欲不振を伴うことが特徴です。仕事が忙しく休む時間もままならない方や、育児で自分の時間が取れないお母さんに多く見られます。
施術では、身体のエネルギーを補いながら、心を落ち着かせるツボを選んで治療していきます。特に脾経や心経のツボが効果的で、気と血を補うことで自然と睡眠の質が向上していきます。
もう一つのタイプは「血虚」と呼ばれる、血液の量や質が十分でなく、心や体を養えない状態です。夢が多く、不安感やめまい、驚きやすさが見られることもあります。
女性の場合は月経の量が少なかったり、周期が不安定だったりすることも特徴です。このタイプの方には、無理な残業や夜更かしを控えていただき、睡眠時間をしっかり確保することをお勧めしています。
夢を多く見る状態が続くと、単に眠りが浅いというだけでなく、様々な心身への悪影響が現れてきます。
まず朝起きたときの疲労感が抜けません。本来、睡眠は脳と身体を休ませて回復させる時間ですが、浅い眠りが続くと十分な回復ができないのです。そのため朝から身体が重く、やる気が起きない状態になってしまいます。
日中の集中力やパフォーマンスも低下します。仕事でのミスが増えたり、人の話を聞いていても頭に入ってこなかったりすることが多くなります。運転中の眠気は事故のリスクにもつながるため、特に注意が必要です。
さらに精神的な不安定さも増してきます。些細なことでイライラしたり、落ち込みやすくなったりと、感情のコントロールが難しくなることもあります。人間関係にも影響が出て、家族や同僚との関係がぎくしゃくしてしまうこともあるのです。
長期間にわたって睡眠の質が低下すると、免疫力の低下や生活習慣病のリスクも高まります。夢を多く見る状態を放置せず、早めの対処が大切になってきます。
鍼灸には自律神経を調節するはたらきがあり、副交感神経を活性化させて心身のリラックスを促す効果が期待できます。心身がリラックスすると寝つきが良くなり、深い睡眠が取れるようになるのです。
実際の治療では、失眠穴や安眠穴といった睡眠に効果的なツボや、太衝、太渓、足三里、合谷、神門といった四肢のツボを使います。これらのツボへの刺激により、入眠時間の短縮や夜間覚醒回数の減少が科学的にも確認されています。
以前、毎晩のように夢を見て眠りが浅く、日中も眠気と疲労感に悩まされていた大学生の女性が来院されました。学業や就職活動に伴う精神的緊張が強く、生理も不順になっていました。
気診検査の結果、血虚体質に精神的ストレスが加わり、肝の高ぶりを招いていることが分かりました。鍼治療により気血の巡りを改善し、心身の落ち着きを取り戻す治療を続けました。
治療開始から2週間目以降に夜間覚醒回数と覚醒時間の改善が見られ、3週目には昼間の眠気も軽減しました。併せて規則正しい食生活を意識していただいたことで、月経にも改善が見られたのです。
このように鍼灸治療では、症状だけでなく体質そのものを改善していくことで、根本的な解決を目指していきます。効果を示す期間には個人差がありますが、多くの方が2週間から3週間程度で変化を実感されています。
鍼灸治療と並行して、日常生活の中でできる対処法を実践することで、より早く症状の改善が期待できます。
寝る前の習慣を見直すことが最も重要です。就寝の2時間前からはスマートフォンやパソコンの使用を控え、ブルーライトの刺激を避けましょう。代わりに読書やストレッチ、軽い瞑想などリラックスできる時間を持つことをお勧めします。
夕方以降のカフェイン摂取や喫煙は避けてください。コーヒーや紅茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは、思っている以上に長時間体内に残ります。就寝前のアルコールも適量を心がけ、深酒は避けましょう。
寝室の環境づくりも睡眠の質を左右させる重要なポイントです。部屋の温度は夏で26度前後、冬で16度から19度が理想的とされています。
日中の過ごし方も睡眠に影響します。朝起きたら太陽の光を浴びて体内時計をリセットし、日中は適度な運動を取り入れることで、夜に自然な眠気が訪れやすくなります。
毎日10分から15分程度の瞑想やヨガを取り入れることで、ストレスへの耐性を高めることができます。呼吸を整え、緊張をほぐすことは非常に効果的です。
日記をつけて心の中のモヤモヤを書き出すことも、頭の中を整理して安眠につながります。特に寝る前に翌日のTo Doリストを作っておくと、考え事で眠れなくなることが減ります。
ストレスの原因が明確な場合は、解決できる問題であれば具体的な解決策を考え実行しましょう。解決が難しい問題であれば、その問題に対する考え方や受け止め方を変える練習をすることも大切です。
自分でできる対処法を試しても改善が見られない場合や、日常生活に大きな支障が出ている場合は、専門家に相談することをお勧めします。
特に悪夢を繰り返し見て強い恐怖を感じる場合や、夢の内容が暴力的で目覚めた後も動悸が続くような場合は、悪夢障害やPTSD(心的外傷後ストレス障害)の可能性も考えられます。
また服用している薬の副作用で夢が増えることもあります。抗うつ薬や血圧の薬など、特定の薬剤は睡眠のパターンに影響を与えることが知られています。薬の副作用が疑われる場合は、自己判断で中止せず必ず医師に相談してください。
うつ病や不安障害などの精神疾患が背景にある場合も、適切な治療が必要になります。2週間以上にわたって気分の落ち込みや不安感が続いている場合は、心療内科や精神科の受診を検討しましょう。
毎晩のように夢を見て、朝起きても疲れが取れないという状態は、心と身体からの大切なサインです。放置せず早めに対処することで、質の良い睡眠を取り戻し、活力ある毎日を過ごすことができます。一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。