
院長:泉お気軽にご相談ください!


こんにちは、富山寿楽堂鍼灸院の泉賢秀です。健康のためにと始めたはずのタンパク質摂取で、かえって体調を崩してしまうことはありませんか。実は当院にも、サプリメント摂取後の不調を訴えて来院される方が少なくありません。身体に良いとされる栄養素でも、摂り方や体質によって思わぬ反応を引き起こすことがあるのです。
30年間で17万人以上の施術を行ってきた経験から、消化機能の問題は単に胃腸だけの話ではなく、東洋医学でいう脾胃の状態が深く関わっていることがわかります。今日は、なぜタンパク質サプリメントが体調不良を引き起こすのか、その理由と対処法を東洋医学の視点も交えてお伝えしていきます。


身体に良いはずの栄養補給が、吐き気や胃のむかつきを引き起こすのには、いくつかの明確な理由があります。体質や摂取方法、そして製品に含まれる成分など、様々な要因が複雑に絡み合っているのです。ここでは、臨床現場でよく見られる原因を詳しく解説していきます。
多くの方が利用しているホエイプロテインやカゼインプロテインは、牛乳を原料としています。日本人の約25パーセントは乳糖を分解する酵素が不足しており、これが消化器症状を引き起こす大きな要因となっています。牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする方は、この体質である可能性が高いでしょう。
また、カゼインというタンパク質成分そのものにアレルギー反応を示す方もいらっしゃいます。即時型のアレルギーでは摂取後2時間以内に、遅発型では6時間から48時間後に症状が現れることがあります。自分では気づいていない軽度のアレルギーが、慢性的な不調の原因になっていることも少なくありません。
製品に含まれる人工甘味料や香料、増粘剤などの添加物が体質に合わず、気持ち悪さを感じるケースも少なくありません。特に空腹時に高濃度で摂取すると、胃壁への刺激が強くなり不快感が増すことがあります。
添加物への感受性は個人差が大きく、ある人には問題なくても別の人には強い反応が出ることがあります。無添加や自然由来の製品に切り替えることで症状が改善するケースも多く見られます。
どんなに身体に良い栄養素でも、一度に大量摂取すると消化器官に大きな負担がかかります。特に食後すぐや満腹状態での追加摂取は、胃腸で処理しきれずに不快感を引き起こす原因となります。タンパク質の消化には他の栄養素よりも多くのエネルギーと時間が必要なのです。
メーカーが推奨する量が必ずしも全ての人に適切とは限りません。自分の消化能力に合わせて少量から始め、徐々に増やしていくアプローチが安全です。
東洋医学では、消化吸収の機能を脾胃という概念で捉えています。西洋医学の胃腸とは少し異なり、栄養を全身に運ぶエネルギー代謝全体を指す言葉です。この脾胃の力が弱まっているときに、無理にタンパク質を摂取しようとすると、身体は拒否反応を示すのです。
中医学において脾は食べ物から栄養を吸収して全身に運ぶ運化という働きを担い、胃は飲食物の消化を受け持っています。この二つが協調して働くことで、私たちは食べたものを正しく活用できるのです。どちらか一方でも機能が低下すると、様々な症状が現れてきます。
脾胃の機能が低下した状態を脾胃気虚や脾胃陽虚と呼びます。この状態では、食欲不振、消化不良、下痢、倦怠感などが現れやすくなります。タンパク質サプリメントのような濃縮された栄養素は、弱った脾胃にとって大きな負担となり、吐き気という形で身体が警告を発しているのです。
実は、タンパク質を飲むと気持ち悪くなる方ほど、慢性的なタンパク質不足に陥っている可能性があります。消化酵素自体もタンパク質から作られているため、長期間の不足状態は消化能力そのものを低下させてしまうのです。
この悪循環を断ち切るためには、少量ずつ分けて摂取し、徐々に身体を慣らしていくアプローチが必要になります。焦らず時間をかけて消化機能を回復させることが、根本的な解決につながります。
不調の原因がわかったところで、次は具体的な改善方法を見ていきましょう。体質や症状に合わせた対策を取ることで、多くの場合は快適にタンパク質を摂取できるようになります。焦らず、自分の身体と対話しながら進めることが大切です。
乳糖不耐症の方は、WPI製法のように乳糖をほぼ除去した製品を選ぶと改善することが多くあります。また、植物性のソイプロテインやピープロテインに切り替えることも有効な選択肢です。ただし、大豆アレルギーの方は成分表示でレシチンの有無も確認する必要があります。
植物性タンパク質にはレクチンという成分が含まれており、これが体質に合わない方もいらっしゃいます。いくつか試しながら自分に合うものを見つけることが重要です。
1回の摂取量を減らし回数を増やすことで、消化器への負担を大きく軽減できます。例えば20グラムを1回で摂るのではなく、10グラムを2回に分けるという方法です。また、空腹時を避けて食事と一緒または食後に摂取することも効果的です。
冷たい飲み物ではなく常温の水や豆乳で溶かすことも、胃腸への刺激を和らげます。東洋医学では冷たいものは脾胃を弱らせると考えられており、温かいものを摂ることが消化機能の向上につながります。
食物繊維が豊富なバナナやオートミールと一緒に摂ることで、消化吸収のスピードが緩やかになり、胃腸への負担が軽減されます。また、腸の蠕動運動を促進して便通も整えてくれるため、高タンパク食で便秘気味の方にも効果的です。
タンパク質の消化を助けるために、酸味のある食材と一緒に摂るのも有効な方法です。レモン水、梅干し、酢の物などは胃酸の働きをサポートし、タンパク質の分解を促進してくれます。パパイヤに含まれる酵素も消化を助ける働きがあります。
消化酵素のサプリメントを併用するのも一つの選択肢でしょう。また、どうしても固形物が難しい場合は、消化の必要がないアミノ酸サプリメントから始めて、徐々に身体を慣らしていく方法もあります。
当院では、東洋医学に基づく気診検査で脾胃の状態を確認し、消化吸収機能を高める施術を行っています。表面的な症状への対処だけでなく、なぜ消化機能が低下しているのかという根本原因にアプローチすることで、本来の身体の力を取り戻していただくことを目指しています。
脾胃気虚や脾胃陽虚の状態を正常に戻すため、当院では気診という筋反射テストを用いて適切なツボを見つけ出します。髪の毛ほどの細さの鍼を使用し、身体に優しい刺激で自然治癒力を高めていきます。痛みはほとんど感じない施術ですので、鍼が初めての方でも安心して受けていただけます。
消化機能の低下は、ストレスや生活習慣の乱れ、過労などが複合的に影響していることが多いものです。当院では唾液によるストレス検査も行い、心と身体の両面から消化機能をサポートします。
規則正しい食事時間を心がけることで、脾胃のリズムを整えることができます。冷たい飲食物を避け温かいものを中心にすることも、脾胃の力を高めるために重要です。よく噛んで食べることで消化の第一段階をサポートし、胃腸の負担を軽減できます。
食後すぐに横にならず軽く身体を動かすことも消化を助けます。また、ストレス管理を意識しリラックスできる時間を持つことで、自律神経のバランスが整い消化機能も向上します。東洋医学では食べることを健康の基本と考えています。脾胃が元気で栄養をしっかり摂ることができれば、基本的な体力や免疫力が養われ、健康な身体をつくることができるのです。
タンパク質サプリメントを飲んで気分が悪くなるという症状は、決して珍しいことではありません。乳糖不耐症、アレルギー、添加物への反応、摂取量や方法の問題、そして消化機能の低下など、原因は多岐にわたります。東洋医学の視点から見ると、これらは脾胃の働きが弱まっているサインであり、身体が今はこの方法では受け付けられないと教えてくれているのです。
無理に続けるのではなく、まずは摂取量や方法を見直し、場合によっては製品を変えてみることが大切です。30年間の臨床経験から言えることは、健康法には個人差があり、万人に合う方法は存在しないということです。身体に良いとされることでも、あなたの今の状態には合わないこともあります。大切なのは、自分の身体の声に耳を傾け、無理なく続けられる方法を見つけることです。
もし消化機能の低下や慢性的な不調でお悩みでしたら、ぜひ一度ご相談ください。当院では気診検査とストレス検査を通じて、あなたの身体の状態を詳しく分析し、最適な施術計画をご提案させていただきます。薬にできるだけ頼らず、本来持っている治癒力を高めることで、心と身体の両面から健康をサポートいたします。