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暑い日が続くと頭がズキズキと痛むことはありませんか。多くの方が「とりあえず手元にある痛み止めを飲もう」と考えるかもしれません。しかし、その判断が思わぬリスクを招く可能性があることをご存知でしょうか。
特に夏場の頭痛に対して安易に解熱鎮痛薬を使用すると、症状が改善しないばかりか身体に深刻なダメージを与えてしまうケースがあります。実際に医療現場では「暑さが原因の頭痛にロキソニンは危険」という認識が広まっており、専門医も注意を呼びかけています。
暑い季節になると「頭が痛い」「身体がだるい」といった症状を訴える方が増えてきます。こうした症状に対して日常的に使っている解熱鎮痛薬が実は逆効果になってしまう理由について、医学的な観点から説明していきましょう。
一般的な風邪やインフルエンザによる頭痛は、体内で炎症反応が起きることで発熱や痛みが生じます。こうした場合にはロキソニンのような非ステロイド性抗炎症薬が効果を発揮してくれるでしょう。
しかし暑さが原因で起こる頭痛は、体温調節機能が破綻して体内に熱がこもることで発生するものです。埼玉慈恵病院で専門医として診療にあたる藤永剛医師も「発生メカニズムが異なるため、解熱鎮痛薬では効果が期待できない」と明言されています。
痛みの原因が違えば治療法も異なるという当たり前の原理が、ここには当てはまるのです。風邪と同じように考えて薬を飲んでも、根本的な解決にはならないということを理解しておく必要があります。
さらに深刻な問題があります。ロキソニンをはじめとする非ステロイド性抗炎症薬は、腎臓や肝臓の血流を低下させる作用を持っているのです。
暑さで大量に汗をかいた状態では、体内の水分が失われ血液の流れが悪くなっています。そこへさらに血流を悪化させる薬を服用すると、腎臓への負担が一気に高まってしまうのです。
名古屋大学病院の専門医は「元々脱水で血流が悪いところに、さらに血流を悪くさせてしまうので重症化するリスクがある」と警鐘を鳴らしています。急性腎障害という命に関わる状態を引き起こしかねないため、脱水の兆候がある場合には絶対に避けるべきなのです。
「それではカロナールのようなアセトアミノフェン系の薬なら大丈夫なのか」という疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。確かにアセトアミノフェンはロキソニンよりも腎臓への負担が少ないとされています。
しかし熱中症による高体温に対しては、やはり効果が限定的です。なぜならアセトアミノフェンは脳の体温調節中枢に働きかける薬ですが、暑さによる高体温は体温調節機能そのものが機能不全に陥っている状態だからです。
結局のところ、どのような種類の痛み止めであっても熱がこもることで起きる頭痛には根本的な解決にならないのです。
| 痛みの種類 | 原因 | 解熱鎮痛薬の効果 |
|---|---|---|
| 風邪・インフルエンザの頭痛 | 体内の炎症反応 | 効果あり |
| 熱中症の頭痛 | 体温調節機能の破綻 | 効果なし・危険 |


重症化を防ぐためには、身体からの小さなサインを見逃さないことが何より大切です。初期の段階で適切な対処ができれば、深刻な状態を避けることができます。暑い時期には常に自分の体調変化に注意を払う習慣をつけましょう。
熱中症は重症度によってⅠ度からⅢ度に分類されています。まずⅠ度の初期症状として以下のようなものがあります。
この段階で涼しい場所へ移動し、適切な水分補給ができれば回復が期待できます。しかしⅡ度になると頭痛や吐き気、倦怠感といった症状が現れ、医療機関での受診が必要になってきます。
自分では「ちょっとした不調」と思っていても、身体は確実にSOSを発しているのです。特に高齢者や子供は自分で症状を訴えにくいため、周囲の人が気づいてあげることも重要です。
意外に思われるかもしれませんが、汗をかかなくなった状態は非常に危険です。体温を下げるための発汗機能が破綻している証拠だからです。
顔が真っ赤になっているのに汗が出ない、呼びかけに対する反応が鈍い、まっすぐ歩けないといった症状が見られたら、すぐに救急車を呼ぶべき状態と考えてください。ためらわずに119番に連絡することが命を救うことにつながります。
もし熱がこもることによる不調を感じたら、薬に頼る前にまず基本的な応急処置を行いましょう。適切な手順を踏むことで症状の悪化を防ぐことができます。どれも特別な道具を必要としない方法ですので、覚えておくと安心です。
症状を感じたらまず涼しい場所へ移動することです。冷房が効いた室内や風通しの良い木陰を選びましょう。屋外にいる場合は、できるだけ日差しを避けられる場所を探してください。
ベルトやネクタイなど身体を締め付けるものを緩めて、リラックスできる状態を作ります。ボタンを外したり、きつい靴下を脱いだりするだけでも血流が改善されます。
スポーツドリンクや経口補水液など、塩分も含まれた飲み物を少しずつ飲むようにしてください。冷たい飲み物は胃の表面から熱を奪うため、できるだけ冷やしたものを用意するのがポイントです。
身体を冷やす際には、太い血管が走っている部分を重点的に冷やすと効果的です。具体的には以下の部位にぬれたタオルや保冷剤を当てましょう。
扇風機やうちわで風を当てると皮膚からの水分蒸発が促進され、より効率的に体温を下げることができます。ただし意識がもうろうとしている場合や、水分を自力で摂取できない状態であれば、迷わず医療機関を受診してください。
実は江戸時代の医書にも熱中症に関する記述があり、古くから日本人は暑さと向き合ってきました。東洋医学では病気になる前の「未病」の段階で対処することを重視しており、暑い季節を乗り切るための知恵が数多く残されています。
東洋医学では夏は陽気が盛んな時期であり、人の身体も自然界の影響を受けて熱くなると考えます。そのため適度に汗をかいて熱を発散させることが大切なのですが、冷房の効いた部屋で過ごしていると熱が体内にこもってしまうのです。
現代人は室内と屋外の温度差が激しい環境で生活しているため、体温調節機能に負担がかかりやすくなっています。ストレスや生活習慣の乱れも自律神経のバランスを崩し、暑さへの適応力を弱めてしまいます。
東洋医学には「治未病」という考え方があります。これは病気になってから治療するのではなく、病気になる前の段階で身体を整えるという予防医学の思想です。
炎天下で働く方や夏に体調を崩しやすい方は、暑い季節が来る前から身体の準備を整えておくことが重要です。古来より熱中症の予防や軽症の段階での対処に、東洋医学の知恵が応用されてきました。
| 東洋医学のアプローチ | 期待できる効果 |
|---|---|
| 体質診断に基づく施術 | 一人ひとりの弱点を補強 |
| 自律神経のバランス調整 | 体温調節機能の向上 |
| 自然治癒力の向上 | 暑さへの適応力アップ |
暑い季節を快適に過ごすためには、日頃からの心がけが大切です。特別なことをする必要はなく、ちょっとした工夫で熱中症のリスクを大きく減らすことができます。
喉が渇いてから水を飲むのでは遅いと言われています。なぜなら喉の渇きを感じた時点で、すでに体内の水分が不足し始めているからです。
目安としては、起床時、朝食時、10時頃、昼食時、15時頃、夕食時、入浴前後、就寝前といったタイミングでコップ1杯の水分を摂取すると良いでしょう。特に高齢者は喉の渇きを感じにくくなっているため、意識的に水分を摂る習慣をつけることが重要です。
通気性の良い素材の衣服を選び、熱がこもりにくい服装を心がけましょう。綿や麻などの天然素材は汗を吸収しやすく、快適に過ごせます。
室内では冷房を適切に使用し、室温を28度以下に保つことが推奨されています。ただし外気温との差が大きすぎると自律神経に負担がかかるため、5度以内の差に抑えるのが理想的です。
暑い季節の頭痛や体調不良に対して、安易に解熱鎮痛薬を使用することのリスクをお伝えしてきました。特に脱水状態でロキソニンのような非ステロイド性抗炎症薬を服用すると、腎臓に深刻なダメージを与える可能性があります。
痛み止めは炎症による痛みには効果を発揮しますが、体温調節機能の破綻によって起こる頭痛には根本的な解決にならないのです。まず涼しい場所への移動と適切な水分補給という基本的な対処を行い、症状が改善しない場合には医療機関を受診してください。
そして何より大切なのは、症状が出る前の予防です。こまめな水分補給、適切な服装、室内環境の調整など、日常生活での工夫が熱中症を防ぐ最大の武器となります。
今年の夏は適切な知識を持って、安全に快適な日々を過ごしていただきたいと心から願っています。もし暑さによる体調不良でお悩みでしたら、我慢せずに早めの対処を心がけてください。