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肘部管症候群を悪化させないために|やってはいけない動作と予防法

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小指や薬指がしびれる感覚に心当たりはありませんか。肘の内側には尺骨神経という大切な神経が通っており、この神経が圧迫されると手の感覚や動きに支障をきたすことがあります。デスクワークやスマートフォンの長時間使用が当たり前となった現代では、知らず知らずのうちに肘へ負担をかけている方が少なくありません。

この症状は放置すると手の筋肉が痩せ、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。ではどのような行動が症状を悪化させてしまうのでしょうか。今回は日常生活で気をつけたいポイントと、東洋医学の観点からのアプローチについて詳しくお伝えしていきます。

目次

肘の内側を通る神経と症状が起こるメカニズム

肘部管症候群とは、肘の内側にあるトンネル状の空間を通る尺骨神経が圧迫されることで発症する神経障害です。この神経は小指と薬指の感覚を司っているため、圧迫を受けると指先にしびれや痛みが生じます。初期段階では軽いしびれ程度ですが、進行すると手の筋肉が衰え、物をつかむ力が弱くなってしまいます。

尺骨神経が担っている役割

尺骨神経は肘から手首にかけて走行しています。小指と薬指の小指側半分の感覚を担当しているのがこの神経です。

また手の細かい動きを制御する筋肉にも関わっています。そのため、この神経が障害されると箸を使う動作やボタンをかける動作が困難になることがあります。日常生活の質に直結する神経だからこそ、負担をかけない生活習慣が求められます。

症状の進行と特徴的なサイン

初期には小指と薬指のしびれから始まります。肘を曲げた姿勢を続けると症状が強くなるのが特徴的です。

読書やスマートフォンを見ているときに指がピリピリすると感じたら要注意でしょう。進行すると手の甲の筋肉が痩せ始め、握力の低下を自覚するようになります。さらに悪化すると指の変形が起こり、元に戻すことが難しくなります。

発症につながる主な原因を知っておこう

肘部管症候群を引き起こす原因は多岐にわたります。加齢による関節の変形や過去の骨折・脱臼の後遺症、スポーツや仕事での反復動作などが代表的な要因として挙げられます。また、ガングリオンと呼ばれる腫瘤が神経を圧迫するケースや、原因がはっきりしない特発性のものも少なくありません。

日常動作による蓄積ダメージ

長時間のパソコン作業や運転は、肘を曲げた状態を維持するため神経への負担が大きくなります。電話をするときに肘を深く曲げる癖がある方も注意が必要です。

こうした何気ない動作の積み重ねが、やがて神経の圧迫症状として現れてきます。

スポーツや重労働との関連

野球の投球動作や柔道など、肘に繰り返し衝撃が加わるスポーツは発症リスクを高めます。テニスやゴルフも肘への負担が大きいため気をつけたいところです。

楽器演奏も長時間同じ姿勢を続けることが多く、神経を圧迫しやすい動作といえます。

症状を悪化させてしまう5つの行動

肘部管症候群と診断された場合や疑われる症状がある場合には、特定の行動を避けることが回復への近道となります。神経への圧迫や牽引を増加させる動作を続けると、症状が慢性化したり回復が遅れたりする原因になります。ここでは日常生活で特に気をつけたい行動について詳しく解説していきます。

【1】肘を曲げた姿勢を長時間続けること

肘を深く曲げると、尺骨神経は肘部管の中で引き伸ばされ圧迫を受けやすくなります。読書やスマートフォンの操作、電話での通話など、無意識に肘を曲げ続けている場面は意外と多いものです。

1時間以上同じ姿勢を続けることは避け、こまめに腕を伸ばす習慣をつけましょう。

【2】肘をデスクや肘掛けに頻繁に預けること

肘の内側を硬い面に押し付ける行為は、直接的に尺骨神経を圧迫します。デスクワーク中に肘を机の角に当てている方は多いのではないでしょうか。

椅子の肘掛けも同様で、神経への持続的な圧力が症状を悪化させます。タオルやクッションを敷いて圧を分散させる工夫が有効です。

【3】重い物を持ち上げる動作

重量物を持つと肘関節に大きなストレスがかかります。買い物袋を片手で持つ動作も、繰り返すうちに神経への負担を増大させます。

両手で分散して持つ、カートを使うなどの工夫で肘への負荷を軽減しましょう。

【4】就寝時に肘を曲げたまま眠ること

夜間や明け方にしびれが強くなる方は、眠っている間に肘を曲げている可能性があります。長時間の曲げ姿勢は神経を圧迫し続けるため、朝起きたときに症状が悪化していることも珍しくありません。

肘をタオルで軽く包んで曲がりにくくする方法や、装具を活用する方法が推奨されています。

【5】症状を我慢して放置すること

「そのうち治るだろう」と放置することは、最も避けたい行動のひとつです。神経の圧迫が長期間続くと、回復に時間がかかるだけでなく後遺症が残る可能性もあります。

しびれや違和感を感じたら、早めに専門家に相談することをおすすめします。

避けるべき行動と対策一覧

避けるべき行動なぜ良くないのか具体的な対策
肘を曲げ続ける神経が引き伸ばされ圧迫される1時間ごとに腕を伸ばす
肘を硬い面に預ける直接的に神経を圧迫するクッションやタオルを敷く
重い物を片手で持つ肘関節に過度なストレス両手で分散またはカート使用
肘を曲げたまま就寝長時間の神経圧迫タオルで固定または装具使用
症状を放置する後遺症のリスク増大早めに専門家へ相談

日常生活で取り入れたい予防と対策

肘部管症候群の予防や症状緩和には、日々の生活習慣を見直すことが欠かせません。姿勢の改善や適度なストレッチ、休息の確保など、特別な道具がなくても実践できることは数多くあります。無理のない範囲で継続することが、神経への負担軽減につながります。

デスクワーク時の姿勢を見直す

パソコン作業中は肘の角度を90度程度に保ち、深く曲げすぎないよう意識しましょう。キーボードの位置を調整し、肘が自然な角度になるよう環境を整えることが大切です。

肘の下にクッションを置くと、硬い面への直接的な圧迫を防げます。

こまめな休憩とストレッチを習慣に

1時間ごとに作業を中断し、腕を軽く振ったり伸ばしたりする時間を設けましょう。手首や肘のストレッチを習慣化することで、筋肉のこわばりを予防し神経周囲の血流を改善できます。

特に腕を真っすぐ伸ばして手首を反らすストレッチは、神経の滑走性を高める効果が期待できます。

サポーターの活用

長時間の作業時や就寝時には、肘用のサポーターを活用することで関節を保護できます。ただし締め付けが強すぎると逆効果になるため、適度なフィット感のものを選びましょう。

東洋医学の視点から考える神経症状へのアプローチ

西洋医学では神経の圧迫を物理的に解消する治療が中心となりますが、東洋医学では気血の流れを整えることで自然治癒力を高め、症状の改善を目指します。肘部管症候群のような神経症状に対しても、経絡やツボへの施術が有効なケースは少なくありません。全身のバランスを整えることで、局所だけでなく体全体の調子を向上させることが期待できます。

気血の滞りと神経症状の関係

東洋医学では、しびれや痛みは気血の流れが滞ることで生じると考えます。肘周辺の経絡に滞りがあると、神経への栄養供給が低下し回復が遅れる原因となります。

気診という方法を用いて体の状態を把握し、最も効果的なツボを見極めることが改善への鍵となります。

鍼灸施術による緩和の可能性

鍼灸は筋肉の緊張を和らげ、血流を改善する効果が期待できます。神経周囲の組織が柔らかくなることで、圧迫が軽減されやすくなります。

髪の毛ほどの細さの鍼を使用するため、痛みをほとんど感じることなく施術を受けられるのも特徴です。

症状の段階別に考える対処の目安

肘部管症候群は進行度によって対処法が異なります。自分の状態を把握し、適切なタイミングで専門家に相談することが大切です。以下に症状の段階と対処の目安をまとめました。

段階主な症状対処の目安
軽度時々しびれを感じる程度生活習慣の見直し・セルフケア
中等度しびれが持続・握力低下専門家への相談を検討
重度筋萎縮・指の変形医療機関での精密検査が必要

軽度の段階であれば、先ほどご紹介した日常生活での注意点を実践することで改善が見込めます。しかし、しびれが常にある状態や握力の低下を感じる場合は、早めに専門家へ相談されることをおすすめします。

この記事のまとめ

肘の内側を通る神経は、日常の何気ない動作で負担を受けやすい場所にあります。肘を曲げ続ける姿勢や肘への圧迫、重い物を持つ動作など、避けるべき行動を理解し実践することが症状改善の第一歩です。

神経症状は単なる物理的な問題だけでなく、全身のバランスや日々の生活習慣が深く関わっています。「しびれくらい大したことない」と放置せず、早めのケアを心がけてください。

東洋医学では、気血の流れを整えることで体が本来持っている治る力を引き出すことを大切にしています。病院や整体に行っても改善しなかった方、薬に頼りたくない方は、鍼灸という選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。


院長:泉

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