
院長:泉お気軽にご相談ください!


冬になると足がいつまでも冷えて眠れない、暖房をつけているのに顔だけがほてって頭がぼーっとする…そんな経験はありませんか。実は、その不調のサインを東洋医学はずっと昔から「頭を涼しく足を温めることが大切だ」と説いてきました。この考え方は、現代の私たちの生活にもそのまま当てはまります。
冷え性や不眠、のぼせに長年悩んでいる方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。


足元が冷えて眠れない、顔はほてるのに手足は冷たい…というお悩みはとても多いです。東洋医学ではこれを「上熱下寒(じょうねつかかん)」と呼び、まさに体内の気のバランスが乱れているサインです。
東洋医学には、「頭部を涼しく保ち、足元を温かくすることで身体のバランスが整い、健康が保たれる」という古くからの考え方があります。四字熟語としても知られるこの言葉は、単なることわざではなく、東洋医学の治療原則のひとつとして今も実践に使われています。
頭は「陽」のエネルギーが集まりやすい場所です。もともと熱が上に向かう性質があるため、頭部には熱がこもりやすい。一方で足元は「陰」の場所で、冷えやすい。その差が開くほど、身体はバランスを崩してしまいます。
東洋医学では、身体の中には「気(き)」と「血(けつ)」が流れていると考えます。この気血がスムーズに全身を巡っているとき、人は健康でいられます。ところが、ストレスや冷え、不規則な生活が重なると気血の流れが滞り、熱が上半身に偏って下半身が冷える状態になりやすいのです。
これが慢性的に続くと、頭痛・不眠・のぼせ・肩こり・冷え性・自律神経の乱れなど、さまざまな症状として現れてきます。当院に来られる患者さんにも、このパターンで悩んでいる方がとても多いです。


現代の生活環境を思い浮かべてみてください。デスクワーク中心で、一日中椅子に座ったまま。暖房は部屋全体を温めるので、頭の位置まで温かい空気が上がってきます。さらにスマートフォンやパソコンの画面を長時間見ることで、目や頭を酷使する毎日。
これでは、熱がどんどん上半身・頭部に集まってしまいます。足元への血流は減り、下半身は冷えたまま。この状態こそが、東洋医学が何百年も前から警告してきた「上熱下寒」そのものなのです。
上熱下寒の状態が長く続くと、さまざまな形で不調が現れてきます。特に次のような症状は、気血のバランスが乱れているサインかもしれません。
こうした症状がいくつも重なっている方は、上半身と下半身の気血のバランスが乱れているかもしれません。一つひとつは小さな不調でも、積み重なるほど身体への負担は大きくなります。
足を温めることには、単純に「足が暖かくなる」以上の意味があります。東洋医学的に見ると、足元には全身の気血の流れを調整するツボが集中しており、足を温めることで気血の巡りが全身に広がり、上半身にこもった熱が下へと引き下ろされていくのです。
これは現代の生理学的な視点からも裏付けられています。足部の血管が拡張されることで血液循環が改善され、体幹部の熱放散が促進されます。その結果として深部体温が緩やかに下がり、自然な眠気が誘発されやすくなります。不眠に悩む方が足湯で眠れるようになったと感じるのは、こうした理由からです。
自宅でできるセルフケアとして、足湯はとても有効です。ただし、やり方にちょっとしたコツがあります。
特に就寝の1〜2時間前に行うと、身体がほどよく温まり、眠りに就きやすくなります。毎日少しずつ続けることが大切です。
足湯以外にも、日常の中でできることはたくさんあります。下半身を冷やさないことが基本ですが、具体的には次のようなことを意識してみてください。
小さな習慣の積み重ねが、気血の巡りを日々整えていきます。すぐに大きな変化は感じられなくても、続けることで身体は確実に応えてくれます。
当院では、この考え方を施術の根本原則として大切にしています。患者さんのお身体を気診(筋反射テスト)で検査すると、冷えや不眠・のぼせを訴える方の多くに、上熱下寒のパターンが見られます。気血の偏りを脈の状態や経絡の反応から読み解き、その方に合ったツボに鍼やお灸でアプローチすることで、熱を上から下へ引き下ろし、全身の気血の巡りを整えていきます。
特に腎経・肝経のバランスは、冷えやのぼせ・不眠に深く関わっています。この経絡の流れを整えることで、「施術後に足の先までじんわり温まった」「久しぶりにぐっすり眠れた」という声を患者さんからいただくことが多いです。
気血のバランスを整える東洋医学の施術は、薬ではなかなか対処しにくい慢性的な不調に特に力を発揮します。次のような症状は、鍼灸整体によって改善が期待できます。
「病院に行っても異常なしと言われる」「薬を飲んでも根本的には変わらない」という方が当院に来られることが多いです。検査数値に現れない不調こそ、東洋医学が得意とする領域です。
興味深いのは、身体の気血のバランスが整うと、こころの状態にも変化が現れることです。気が上に偏っているとき、人はイライラしやすく、不安感が強くなりやすい傾向があります。気が下半身にも均等に巡るようになると、こころが落ち着き、ものごとに動じにくくなります。
東洋医学では身体とこころは切り離せないものとして捉えます。足を温め、気血を全身に巡らせることは、身体の健康だけでなく、精神的な安定にも直結しているのです。当院でも、身体の冷えを改善していく中で「気持ちが前向きになった」「些細なことで落ち込まなくなった」という変化を報告してくださる方がたくさんいらっしゃいます。
私がこれまで17万人以上の方の施術をしてきた中で、改めて感じることがあります。それは、身体の不調は必ずサインを出しているということです。足の冷えも、夜眠れないことも、頭だけがほてることも、すべて気血のバランスが乱れているという身体からのメッセージです。
そのサインを「歳のせいだから」「しょうがない」と見逃してしまうのはもったいない。東洋医学の視点でお身体を丁寧に診ていくと、そこには必ず原因があり、整えていくための道筋が見えてきます。ひとりで悩まず、ぜひ気軽に相談してほしいと思っています。一緒に、こころと身体のバランスを取り戻していきましょう。