
院長:泉お気軽にご相談ください!


突然、胸がドキドキして「あれ、大丈夫かな?」と不安になったことはありませんか。仕事中や夜寝る前、ふとした瞬間に起こる動悸は、経験した方にしかわからないつらさがありますよね。
そのドキドキ感、実はツボを刺激することで落ち着かせられる場合があるんです。今回は、30年・17万人以上の施術経験を持つ「医僧」鍼灸師の立場から、動悸が起きたときに役立つツボとその押し方を、わかりやすくお伝えしていきます。


動悸でご来院される方は、ストレスや自律神経の乱れを抱えていらっしゃる方がとても多いです。ツボを知っておくと、いざというとき心強い味方になりますよ
動悸というのは、心臓の鼓動がいつもより強く・速く・または不規則に感じられる状態のことです。西洋医学では心臓や自律神経の問題として捉えられますが、東洋医学ではもう少し広い視野で原因を読み解きます。
東洋医学では、心臓の働きを「心(しん)」というエネルギーの流れとして捉えています。この「心」のエネルギーが乱れたり、気血の流れが滞ったりすることで、動悸が起こると考えます。
特に多いのが、ストレスや過労による「気」の乱れです。忙しい日々のなかで知らず知らずに溜まった緊張が、自律神経を乱し、胸のドキドキとなって現れることがとても多いのです。
また、更年期を迎えた方では、ホルモンバランスの変化が自律神経に影響し、動悸を引き起こすケースも少なくありません。「病院で検査しても異常なし」と言われたのに、胸がドキドキするという方は、こうした自律神経やエネルギーバランスの乱れが背景にある可能性があります。
ツボによるセルフケアは、日常的な動悸の緩和に有効です。ただし、次のような症状がある場合は、まず医療機関を受診することを強くおすすめします。
日常のちょっとしたドキドキ感、緊張したときの動悸、睡眠前の胸のざわつきなどには、これからご紹介するツボが力になってくれますよ。
東洋医学には数百以上のツボがありますが、動悸に特に関係が深いとされる代表的なツボを3つご紹介します。場所の見つけ方と押し方もあわせてお伝えしますので、ぜひ今日から試してみてください。
神門は、動悸・不安・不眠に対してもっとも効果が期待できるとされるツボです。「心(しん)の門」という名前の通り、心のエネルギーを整える入り口と古くから重視されてきました。
場所の見つけ方は、手のひらを上に向けて、手首の横じわの小指側の端を探します。骨のすぐ内側にある少しくぼんだところが神門です。
押すときは、反対の手の親指の腹を使って、痛気持ちいい程度の強さでゆっくりと5〜10秒押し、ゆっくり離す。これを左右それぞれ3〜5回繰り返してみましょう。
呼吸に合わせて、息を吐きながら押すとより効果的です。電車の中でも、デスクに座ったままでもできるので、動悸を感じたときにすぐに実践できます。
膻中は、胸の中央、ちょうど両乳首を結んだ線の真ん中にあるツボです。胸の気の流れを整え、緊張や圧迫感をほぐす働きがあるとされています。
ストレスを感じているとき、胸が詰まるような感覚がしませんか。そういったときに膻中を優しく刺激すると、胸のつかえが和らぎ、呼吸も楽になることがあります。
押し方は、人差し指・中指・薬指の3本を重ねてツボに当て、やさしく円を描くようにマッサージします。強く押しすぎず、気持ちいいと感じる程度の力加減で、1〜2分ほど続けてみてください。
内関は、手首の内側の中央から指3本分ひじ側に上がった場所にあります。2本の腱の間にある少しくぼんだところが目印です。
内関は自律神経全般に働きかけるツボとして知られており、動悸だけでなく、乗り物酔い・吐き気・緊張感の緩和にも広く活用されています。
親指の腹を当てて、ゆっくり5〜10秒押してから力を抜く、これを繰り返します。左右交互に押すとよいでしょう。特に就寝前に行うと、自律神経が整いやすくなり、夜間の動悸の予防にもつながります。
ツボは正しく刺激することで、はじめてその効果が発揮されます。いくつか大切なポイントをお伝えしますね。
「強く押せば効く」と思いがちですが、それは間違いです。東洋医学の考えでは、強すぎる刺激はかえって「気」の乱れを起こすことがあります。痛気持ちいいと感じる程度が適切な強さです。押した後に赤みや痛みが残るようであれば、力を入れすぎています。
ツボの刺激は、体と心がリラックスしているときのほうが効果を発揮しやすいです。深呼吸しながら、ゆったりとした気持ちで行ってみてください。仕事中でも、少し肩の力を抜いた状態で試してみましょう。
1回押したからといって、すぐに劇的な変化が起こるわけではありません。毎日の習慣として続けることで、徐々に自律神経が整い、動悸が起きにくい体質へと近づいていきます。
ツボのセルフケアで一時的に楽になっても、「また繰り返す」という方がたくさんいらっしゃいます。繰り返す動悸の背景には、多くの場合、自律神経の慢性的な乱れがあります。
自律神経は、心拍数・血圧・消化・体温調節など、身体のあらゆる機能をコントロールしています。現代社会では、仕事のプレッシャー・睡眠不足・人間関係のストレスなど、自律神経を乱す要因があふれています。
当院にご来院される動悸でお悩みの方も、「検査では異常なし」と言われながら、長年症状に悩まれている方が多くいらっしゃいます。唾液アミラーゼによるストレス検査を行うと、多くの方が高い数値を示していることも少なくありません。
東洋医学の気診では、動悸の背景にある「心経」「肝経」「腎経」などのエネルギーバランスの乱れを読み解き、その方に合ったツボへ的確に働きかけていきます。セルフケアと専門的な施術を組み合わせることで、より根本的な改善が期待できます。
「40代後半から急に動悸が増えた」「閉経前後からドキドキすることが多くなった」という女性の声もよくお聞きします。更年期に伴う動悸は、エストロゲンの減少が自律神経に影響することで起こりやすくなります。
こういった更年期症状による動悸には、先ほどご紹介した神門・膻中・内関に加えて、腎のエネルギーを補うツボへのアプローチが効果的なことが多いです。
東洋医学では、更年期の症状を「腎虚(じんきょ)」——腎のエネルギーが不足した状態——として捉えます。年齢とともに自然に起こることですが、適切に整えることで症状を和らげることができます。
「更年期だから仕方ない」と諦めてしまっている方も、ぜひ一度ご相談ください。
仕事の締め切り前、大事なプレゼンの直前、夜に布団に入ったとたんに胸がドキドキ……。これはストレスによって交感神経が過剰に働いた状態です。
こういうとき、ツボとあわせて「4-7-8呼吸法」を試してみてください。鼻から4秒かけて吸い、7秒息を止め、口から8秒かけてゆっくり吐く、というシンプルな呼吸法です。副交感神経を刺激して、自律神経のバランスを整える効果が期待できます。
神門を優しく押しながらこの呼吸法を行うと、より効果的に心が落ち着いていくことを感じられる方が多いです。忙しい毎日のなかでも、1〜2分あれば実践できます。
胸のドキドキって、経験したことのある方なら分かると思いますが、本当に怖いんですよね。「このまま何かが起きるんじゃないか」という不安が、また新たな緊張を生んで、さらに動悸がひどくなる……という悪循環に陥ることも少なくありません。
でも、ほとんどの動悸は、身体からの「少し休んで」「ストレスが溜まっているよ」というサインです。今日ご紹介したツボを日々の生活に取り入れながら、心と身体のバランスを整えていってほしいと思います。
30年間、17万人以上の方の施術に携わってきた私の実感として、動悸で悩んでいる方の多くは、真面目で頑張り屋さんな方が多いです。自分のことは後回しにして、家族や仕事を優先してきた方が多い。だからこそ、自分自身の体の声にもっと耳を傾けてほしいのです。
セルフケアで改善が感じられない場合や、動悸が繰り返す場合は、一人で抱え込まずにぜひご相談ください。東洋医学の視点から、あなたの体全体のエネルギーバランスを丁寧に読み解き、根本からサポートしていきます。