
院長:泉お気軽にご相談ください!


突然、片耳が聞こえなくなった。そんな経験をされた方は、どれほど驚かれたことでしょう。耳鼻科を受診して「突発性難聴」と診断され、大量のステロイドを処方されて「こんなに飲んで大丈夫?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
処方された薬の量を見て、思わず二度見してしまった。そんな方のために、今日は東洋医学の視点も交えながら、ステロイドによる治療の仕組みと、身体への影響についてできるだけ丁寧にお伝えしていきます。


突発性難聴でステロイドをたくさん処方されて驚いた、という方から当院にもよくご相談をいただきます。薬だけに頼らず、鍼灸の力でからだの回復力を引き出す方法もありますので、最後までぜひ読んでみてください
突発性難聴は、ある日突然、特に明確な原因もなく片耳の聴力が大きく低下してしまう病気です。朝起きたら聞こえない、電話に出たら声が遠い、そういった形で気づくことが多く、めまいや耳鳴りを伴うケースも少なくありません。発症する年齢は30代から60代が多く、働き盛りの世代が特にリスクが高いとされています。
原因はいまだ完全には解明されていませんが、内耳への血流障害やウイルス感染、過度のストレスや睡眠不足などが引き金になると考えられています。東洋医学的には、気血の流れが滞り、腎や肝のエネルギーが乱れることで耳への栄養が届きにくくなった状態と捉えています。
内耳という部位は、非常に繊細な構造をしていて、小さな血流の変化にも敏感に反応します。そのため過労やストレスが積み重なり、ある閾値を超えたときに一気に症状が現れることがあります。「昨日まで普通だったのに」という経験は、実は身体がずっと限界に近づいていたサインだったのかもしれません。あなたの身体は、ずっと訴えていたのではないでしょうか。
突発性難聴の治療として現在の医療で最も広く使われているのがステロイド剤です。内耳の炎症を抑え、血流を改善することで、損傷を受けた感覚細胞の回復を促すことが目的とされています。治療のタイミングが早ければ早いほど回復の可能性が高まるとされており、発症から2週間以内の治療開始が特に重要とされています。
では、なぜあんなに量が多いのでしょうか。驚かれる方も多いのですが、突発性難聴の治療ではプレドニゾロンという薬を1日あたり体重1kgにつき1〜2mgという量から開始するのが標準的です。体重60kgの方であれば1日60mgから始めて、数日ごとに少しずつ量を減らしながら治療を進めていきます。
これだけの量を使うのは、内耳が血液脳関門という特殊なバリアに守られた場所にあるからです。通常の量では薬が内耳まで十分に届きにくいため、最初は多めに使って確実に炎症を抑えることが必要とされています。「量が多い=危険」ではなく、目的があっての投与量であることを知っておいていただけると、少し不安も和らぐのではないでしょうか。
ステロイドの投与方法には大きく分けて2つあります。まず口から飲む経口投与、もうひとつは鼓膜を通じて直接内耳近くに注射する鼓室内注入です。経口投与で効果が不十分な場合や、糖尿病などで大量投与が難しい方には鼓室内注入が選択されることがあります。どちらが自分に合っているかは主治医と相談しながら決めていくことが大切です。
ステロイドを高用量で使用する場合、副作用が心配になるのは当然のことです。代表的なものとして、血糖値の上昇、胃腸への負担、免疫力の低下、気分の変動などが挙げられます。長期にわたって使用する場合には骨への影響も懸念されますが、突発性難聴の治療では数週間という短期間での使用が基本ですので、重篤な副作用のリスクはそれほど高くはありません。
ただし、もともと糖尿病をお持ちの方、胃潰瘍の既往がある方、精神的に不安定な状態の方などは、使用にあたって特別な注意が必要です。処方を受けた際には「自分の持病との兼ね合いは大丈夫か」を必ず担当医に確認するようにしてください。自分の身体のことを自分で守るための質問は、遠慮なくしていいのです。
胃への負担を軽減するために、ステロイドは食後に服用することが基本です。また、薬の服用中は塩分や糖分の過剰摂取に気をつけることも大切です。東洋医学的な視点からは、ステロイドは身体に「熱」を生じやすい薬と捉えています。こうした熱の偏りを整え、自然治癒力を高めるためのサポートとして、鍼灸は非常に相性の良いアプローチです。


ステロイド治療を行っても聴力が十分に回復しないケースも残念ながらあります。治癒率はおよそ3〜4割程度とも言われており、完全に回復する方もいれば、部分的な改善にとどまる方、あるいはほとんど改善が見られない方もいます。では、ステロイドが効かなかったら終わりかというと、そうではありません。
大切なのは、そこで諦めないことです。身体の回復力というのは、薬だけに依存するものではないからです。当院では、ステロイド治療と並行して、あるいは治療後のケアとして、鍼灸気功整体を通じた内耳環境の改善、全身の気血のめぐりを整えることで、聴力の回復をサポートしてきた実績があります。
東洋医学では、耳は「腎」と深い関わりがあると考えます。腎のエネルギーが充実していれば耳は正常に働き、腎が弱ると聴力が落ちるとされてきました。また、強いストレスが肝のエネルギーを乱し、気血の流れを滞らせることも難聴に影響するとされています。当院独自の気診(筋反射テスト)を使って、どの経絡のバランスが乱れているかを丁寧に確認し、最も効果的なツボに対して施術を行っています。
ステロイドが身体の炎症を抑える「消火活動」だとすれば、鍼灸は「身体が自分で回復できる力を引き出す」働きをします。薬で炎症を抑えながら、同時に気血の流れを整えることで、内耳の細胞が回復しやすい環境を整えていくイメージです。当院では、突発性難聴でお悩みの方に対して、病院の治療と並行した東洋医学的なサポートを行っています。「もう治らないかな」と感じている方こそ、ぜひ一度ご相談ください。
突発性難聴は、発症してから早期に治療を始めるほど回復の可能性が高まります。一般的には発症から2週間以内、できれば数日以内の受診が望ましいとされています。「しばらく様子を見よう」「仕事が落ち着いてから」と後回しにしてしまうと、それだけ治療の窓が狭まってしまいます。耳に違和感を感じたら、できるだけ早く耳鼻科を受診することを強くおすすめします。
また、病院での治療を始めながら、並行して鍼灸のサポートを取り入れることも可能です。「病院の先生に相談してから」と感じる方もいらっしゃいますが、多くの場合、鍼灸は西洋医学の治療と共存できます。どうぞ遠慮なく当院にもお声がけください。
ステロイドの投与量や症状の程度によって、入院が勧められるケースと外来(通院)で対応できるケースがあります。
| 治療の方法 | 主な対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| 外来(経口ステロイド) | 軽〜中等度の難聴 | 通院しながら内服薬で治療。生活への影響が少ない |
| 入院(点滴ステロイド) | 重度の難聴・めまい強い場合 | 高用量を確実に投与。安静環境でのケアが可能 |
| 鼓室内注入 | 経口が難しい方・再発例など | 局所的に内耳へ直接届けられる。副作用が少ない |
どの方法が合っているかは症状の程度や既往歴によって異なります。主治医としっかり相談しながら、ご自身に合った方法を選んでいただくことが大切です。
突発性難聴と診断されて、ステロイドを処方されて、不安でいっぱいになっている方がたくさんいらっしゃいます。その気持ちは、当然です。「こんなに薬を飲んで大丈夫か」「治るんだろうか」「もし治らなかったら」、そういった思いを一人で抱え込んでいる方に、ぜひ伝えたいことがあります。
身体には本来、自分で治ろうとする力が備わっています。約30年間、17万人以上の方に鍼灸気功整体を通じた施術をしてきた私の経験からも、薬と東洋医学のアプローチを組み合わせることで、より回復の可能性が広がるケースを数多く見てきました。突発性難聴においても、早期の鍼灸サポートは、内耳の血流改善や自律神経の安定化に貢献できると考えています。
一人で悩まないでください。「病院ではこう言われたけど、鍼灸でも何かできることはあるか」そんな質問でも構いません。あなたの耳の回復を、一緒に考えさせてください。